2019年下半期の砂場について

安心して、というのは人によってはむつかしいのかもしれないけれど、僕個人、悲しいお知らせのつもりでは全くないです。あくまでこれからの砂場への期待を多分に含んでこの記事を書いています。

「砂場が大阪でライブをすることになりました。場所は心斎橋BLONZE、日程は11月16日(土)です。この日は砂場の関西編、「砂場(ウエスト)」と仮称して、ベースとドラムをサポートに迎えてやります。でもこれは、東京のメンバーと、またライブをするための選択だと考えています。」

要点はこれでほとんど。だけどこれだと色々と抜け落ちてしまうことがあると思うので、ここから先は僕らを応援してくれる人のための補足として書きます。

2019年の砂場は、大阪に住んでいる僕と東京に住んでいる畠山君をオリジナルメンバーとして、ベーシストをサポートに迎えて活動している現状です。

長く一緒にやっていた浮田君が辞めてしまって、それを助けてくれたのがスリマのショーちゃん。だけど今年の一月にスリマが忙しくなることをうけてサポートを一旦終了に。ここでまたバンドの形を保つのがなかなか難しくなって、でも、なんとか続けたくて頼ったのがずっと前に里帰りのゆりちゃん繋がりで仲良くなったソラミズツキヒのシンちゃん。彼には3月に東京で一本やってもらっただけになってしまっているけれど、また手伝ってもらってこの三人でライブがしたいという気持ちは無くしていません。

だけど、このメンバー変遷を経るうちに、いつのまにか東京でライブをすることを、いままでのようにフットワークを軽く考えることができなくなっていました。

大阪に住んでいるから、東京に行くときは必然的に遠征。移動手段はなるべく節約して高速バス。スケジュール都合でむつかしいときは最終奥義の新幹線。ライブの時もそうだけど、これはリハでスタジオに入る時も。当然、お金と時間、気力と体力も相応のものが必要になります。

だから、それだけのものを注ぐ以上、次に出演するライブはそれに見合うものにしたい。誰かがしっかりと想いを込めてくれる日に出演したい。そういう想いが強くなって、それが自分の両足を縛ってゆくようになりました。

むしろ自分がその想いを注いで、一から作ってしまえば良いとも考えました。だけど、僕が一緒にやりたいと思うバンドは今の僕らと一緒にやってくれるだろうか、ライブハウスを巻き込んで、日程だけ迫ってしまって、もし願い叶わず間に合わせのようなイベントなんてやってしまったら。そんなことがあったらもう二度と立ち直れない。そう考え出したら、もう自分では動けなくなっていました。

いままであまりその辺を気にせずにいられたのは、たぶん僕が「世界の砂場から」サーキットを主催していたから。ある種これは砂場が動く動力源になっていて、最高が約束された日を自分で作って(作れて)いたから、これは砂場にとってこの日に向かって動けるという救いでもあった。そしてこうして身体のどこから沸くのかわからない謎のエネルギーを注いで動いていると、逆に出演オファーをもらうこともちらほらとあって、この日を目的地にして、経由地のように定期的なライブ活動ができていました。

面白そうなことをやっていると人は集まってくる。逆もまたしかりで、危ういバランスとはいえ、奇跡的に循環していたのだとおもいます。

だけど今年は、サポートを擁して遠距離編成のバンドを続けながらこの日を作りあげる気力体力、そして覚悟が持てませんでした。

実はぎりぎりまで悩みました。だけど駄目だと思ってしまった。何がそんなつらいんだって思う人いるかもしれないですが、要するに出演交渉のブッキングです。もちろん誠実な対応をしてくれる人もたくさんいてくれて、絶対出るよって応援してくれる友達もいます。だけど反面、音楽を踏みにじられるような気持ちで埋め尽くされるようなことも少なくはなくて。自分の音楽を良いと思う自分の気持ちを自分ですり減らしてしまって、大好きだったはずの音楽を好きだと思えなくなってしまって、そこまでして続ける選択ができませんでした。

こうしてサーキットという動力源を失った砂場は、無風の水たまりに浮かぶ船みたいに、動けなくなりました。

僕個人は、バンドが動けなくても音楽は続けようとたくさんソロの予定を入れて歌いに行きました。GWと夏休み、半ば狂ったようなライブスケジュール、大変だったけれど、なんというかこれがシンプルに楽しかった。打てば響く、歌えば届く、この自然なループを繰り返していくうちに、失いかけていた気力を少しづつ取り戻していくことができました。

一人で歌いながら、バンドをやりたい気持ちもすこしづつ戻ってきました。

でもこのままだと、きっと砂場が次のライブを迎えることもないのだろうな、とも。砂場は、たまたま次が決まっていないだけでずっと活動中です。だけど、自分が風を起こさないとこの船は動かない。動いていないバンドはどこにも行けないまま。

とはいえ今の僕の力はまだこの距離の重さを振り払って一歩を踏み出すには足りません。ライブ決まってなくてもとりあえず音出してみようかってだけでサポートメンバーにまでスケジュール調整してもらって東京に行くのは正直辛い。

今回、大阪でサポートを募って、関西編としての砂場を動かしてみようと考えたのはそういう背景からです。僕が住んでいるこの街で、同じく僕の歌を好きだと思ってくれる人にならば、もう少し気軽にバンドで合わせてみようかって委ねられる気がしたから。

そしてこうやってバンドが動けば、きっとここから風が起こって、また東京にまで届くはず。そうしたら名古屋にも長野にもいろんな街にも届く。待っててくれている、顔が浮かぶ人たちにまたきっと会える。そう思って畠山君にも相談しました。彼も今の僕と砂場の現状をわかっていて、僕のこの意思を尊重してくれました。

 

関西編の砂場を立ち上げるにあたって重視したのは、僕の音楽を好きだと言ってくれている人であること、尚且つスケジュールを合わせてくれそうな人。そうはいなかったんだけれどたまたまタイミングが合って、二つ返事をくれる人たちに巡り合えました。

 

ベースはthe seadays というバンドをやっているくぼくん。元々の出会いは京都のnanoで彼が昔にやっていたバンドとの共演。その時からいろんなところで遭遇していて、今年は福岡でも共演してたり、なにかと縁のある人だったのだけれど、精力的に活動していたバンドから抜けていたのを知っていたのでこのタイミングならば、、とオファーしてそして二つ返事をくれました。

ドラムは元Moccobondというバンドをやっていた松川さん。実はサポートメンバー構想は前からうっすらとあって、去年ファイヤーループに出演した時、ソウルフードの安井君に紹介してもらったのが、たまたまその日に働いていた彼女。機会があればととりあえず連絡先交換だけしたもののそのまま放置、という不義理をしていましたが、今回ようやく踏ん切りがついて思い出してオファーしてみたらこちらも二つ返事を頂けました。。

二人ともお酒へのモチベーションが高くて、スタジオ終わりの飲酒へと向かう向上心は光るものがあります。昨日はじめてスタジオに入ったんですが、二人とも手探りながらそれぞれ素敵なプレイヤーで、オリジナルの砂場とはまた違う形で見せられそう。11月に迎えるライブがとても楽しみです。

 

砂場(ウエスト)

[vocal & guitar ミヤザキナツキ / bass くぼようへい / drums 松川もも子]

で編成しています。砂場をカバーするバンドのような感じで漕ぎ出しつつ、自由にやれたらと思っています。

 

上手に伝えることは諦めて、綴れる限りで 綴りました。

長く活動しているといろいろなことがあるなと、思いますが、砂場の音楽を少しでも長く続けられるよう頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

砂場 ミヤザキナツキ



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