走馬灯

届くわけもないと 口をつぐんだまま

噛み殺した痛みを かかえて眠ろう

巡る走馬灯には 映らない姿が

今も胸を焦がし燻りつづける

 

かつて煌めきを纏っていた

感情はとうに鳴りを潜め

掻き分けても 跡形なく

虚しい心がわめき散らす

 

ゆくあてもないまま たどり着いてしまう

ためらいを混ぜたら滲んで

夜明けがさらってゆく

 

不確かな「またいつか」と

確実な今日を秤にかけ

見上げた空にはにわか雨が

わずらいも全て飲み込んでく

 

さよならの数だけ 楽になってゆく

気付かされていた いつもそばで

手招きする影に

許されることなく 恋焦がれていた

それさえも泡のように消える

月明かりの下で

儚くも咲いて