空を飛ぶ

今週末、福岡へ歌いに行く。

お察しの通り、福岡はとても遠い。

 

その土地でうたうことは、庭に水を撒くこととすこし似ている。

聴いてくれる人の心が潤うようにって唄うから。

だけど人は簡単に忘れてしまう。そしてそれは仕方のないこと。

まず音楽自体、生きる上での必要不可欠性がないから。

そして、なによりみんな等しく年をとる。

僕だって1年前の気持ちをそのまま保存しておくことはできない。

端から知らぬ間に色褪せていくし、朽ちてなくなってしまうことだって。

そしてその事実にも気づかないままだったりする。

 

だから、歌い続けることを大切に思っている。

水を撒いて、誰かの心で芽吹いた気持ちが枯れないように。

  

だけど、距離が遠くなるとそれがむつかしくなる。

やっぱり時間もお金もかかるから、どうしたってそれは否めない。

 

ある時から遠くに歌いに行くことに抵抗を感じるようになった。

それは時間のこともお金のこともあるんだけれど、

また行けるって約束ができない場所、またきっと忘れられてしまうだけだって

そういう気持ちがブレーキをかけてしまうようになった。

 

 

今回、福岡行きを決めたのはtuna君という(とてもめんどくさい)男の子が

僕の歌を気に入ってくれて、呼びたいって誘ってくれたのがきっかけ。

数年前に佐賀のGEILSってライブハウスで出演した時に

たまたま観に来てくれていて、そこからTWITTERで繋がったんだけれど

そこから名古屋への遠征を何度か手伝ってあげたり、

よりによって自分の家でインフルエンザを発症しやがって、

自分が外泊を余儀なくされたり・・。まあいろいろあった。

あ、そういやその通院費まだ貸したまんまだ。利子つけよう。

 

最初、そっちでもうあんまりお客さん呼べないから・・って断ってたんだけど、

「自分が布教しました!聴きたい人がたくさんいるんです!!」

って嘘かほんとかいまだに信じられんのだけどそうやって声をかけてくれて、

「たくさん来るから交通費も出せます!」

ってそこまで動いてくれて、それは断れないなって。

 

昔、福岡に二年くらい住んでた。でも、もう3年くらい経っていて

住んでいないその土地で自分はもう死んでるような気持ちがあった。

だけど、消えないようにって繋いでくれる人がいることで

芽吹きにも似たような気持ちを感じている。

 

きっと歌う自分だけじゃなくて、聴いてくれる人たちも

水を撒いてくれているのだとおもう。

そしてそれが潤すのは歌う側、たとえば自分が、その土地を映す心。

 

できる限り報いたい。

微かに僕を知る人から久しぶりに名前を見たから聴きに行きますねって

そんな声が聞こえてきたら心底にうれしい。

 

 

10月14日の土曜日 福岡 大名のShangli-la です。

50分づつのツーマン公演ということでめったにこの長さではできないから

できる限りの全力を尽くしたいと思います。

 

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■10月14日(土):福岡 大名Shangri-la
w/tuna
open19:00/start19:30,ticket2000yen
※福岡に行く。いつも元祖長浜家をコースから外せなくて失うものがたくさんある。ツーマン公演。

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